昨日、岩手県北上市の日本現代詩歌文学館を会場に、一昨年以来3年目となる小島ゆかり先生による短歌実作講座、第1回目の講座が行われた。
当講座は9月・10月・11月の年に3回。
いつもながら、小島先生の正鵠を得たご指摘や心遣い溢れるご指導により、学ぶことの楽しさ、学びの喜びをひしひしと実感できる講座である。
今回の講座は、初めに加古陽氏の歌集『夜明けのニュースデスク』から10首を引き、恒例の歌評から始まった。
そのなかで、「春風にはためくレースカーテンが玻璃窓の下、塩壺倒す」は、新聞記者として、福島の原発事故か或いは広島の原爆ドーム、長崎原爆資料館の取材かで現地を訪れ、目にした光景を叙情を含めて歌ったものであろうか?人影もなく、閑散とするなか、春風に塩壺が倒されたであろう様をとおし、無常感や悲哀感が漂う一首である。塩壺は骨壺を連想する。
小島ゆかり先生は、歌集全体を通して読むと、更に奥深さが感じられる一首だと話しておられた。
その後いつも通り、受講者が前もって提出してある歌稿の添削及び寸評へと進んだ。
ご多分に漏れず、私は先陣を切る予定で真っ先に提出した筈だっが、先行を許してしまい、詠草集への記載は2番目だった。
然し乍ら1番目の方が欠席と云うことで、結局私が先陣を切ることになった。
然し乍ら1番目の方が欠席と云うことで、結局私が先陣を切ることになった。
一首目
(元歌)万緑を傘に黙座の西行碑今も清しむ平安の風
(添削)万緑を傘に黙座の西行碑はるか清しむ平安の風
二首目
(元歌)田水沸き木陰に群るる蟇齟齬や罵倒の声が飛び交ふ
(添削)田水沸き木陰に群るる蟇齟齬や罵倒の声がひしめく
最初の一首目は、中尊寺参道の中腹に北上川と束稲山を一望出来る見晴台がある。そこに西行法師が「きゝもせず束稲やまのさくら花よし野のほかにかゝるべしとは」と詠んだ歌碑があり、そのことを詠んだ一首である。
実を云うと、上の句は今年6月29日、中尊寺で行われた第64回平泉芭蕉祭全国俳句大会の折、渡辺誠一郎先生選で秀逸に選ばれた一句。それに下の句を詠み加えた一首である。
平安時代、西行法師が平泉を訪れたのは2度。そのことを、いちのせき文学の蔵発刊(今年6月刊行)の『ふみくら9号』に寄稿している。その内容は(文末部分)>>
今年度の短歌実作講座は、私が属している第1班、次回の講座は10月22日(水)だが、実に待ち遠しい。
因みに、小島ゆかり先生は2026年4月24日(金)開催の第46回中尊寺西行祭全国短歌大会の選者を務められる。

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