一関・文学の蔵が毎年、会誌として発刊している『ふみくら』がある。今号で9冊目を迎える。
6月上旬の刊行を目指して編纂に追われたが、なんとか無事に原稿も出揃い、出版に向けて一関プリント社に持参した折、当一関・文学の蔵会長の畠中祥夫先生から、「時間がある時にでも読んでみなさいよ」と一冊の本を渡された。
「時間のある時に」と云うことだったが、如何せん、本業はもとより、母の介護や、農繁期で田んぼや畑やらと、「やることだらけ、やることばかり」である。ましてや読みかけの本が5冊ほどあり、読んでる暇はなさそうだと思ったが、断るのも失礼。取り敢えず借りることにした。
借りた以上は返却の折、「どうだった」との感想を求められるだろうことから、一応目を通す必要がある。兎にも角にも空いた時間に頁をめくることにした。
ところが、悲喜交交、実に面白いのである。
ついつい時間を忘れて読み耽ってしまった。
その本とは、開業医が院長メモとして日記風の随筆集である。
『ゆとりが丘クリニック便り』医療法人北点舎「ゆとりが丘クリニック」の高橋邦尚院長の著書である。
帯文にはジャズ喫茶ベーシー店主の菅原正二氏の一文がある。
「笑いあり、涙あり」の一冊だが、特に感動的だったのが、「ヒポクラテスのことば」だった。
最近読んだ本のなかでも一番面白く、感動的であった。
図書館や人前で読むのは避け、一人居の場所で読むことをオススメしたい。何故なら、時折空知らぬ雨がぽとりぽとりと頬を伝うからである。
西村由紀江さんの「オルゴールを聴きながら」など、ピアノ演奏を聴きながら頁をめくると尚更である。
追記
「時間の合間に読む」と云うことで、帰宅後、調理をしながら頁をめくっていたところ、不味いことに醤油を一滴、表紙に零してしまった。「こりゃ不味い」とばかりに水に濡らしたティッシュで吹き取ろうとしたところ、益々広がってしまったのである。



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