先週と本日、時間調整を図りながら二本の映画を観てきた。
一本目は三上智恵監督の「戦雲(いくさふむ)」。
「国防」の大義名分のもと、沖縄・南西諸島のミサイル防衛基地や弾薬庫等の増設、配置を余儀なくされ、島民ら現地の住人の葛藤を描いたドキュメンタリー映画である。
この映画を観て、改めて今の現状を意識出来たが、この現実を、マスメディアはしっかりと国民に報じているのだろうか。
国防上の「機密」・・・。
確かに分からなくもないが、今、日本が置かれている立場、現状を国民に知らせる責任があるのではないだろうか。
そのことによって、我々日本列島で暮らす同じ日本人として、決して無関心ではいけない。
また更に、同映画館で今度は世にも恐ろしい「関心領域」と云う、アウシュビッツ収容所の直ぐ隣で幸せそうに暮らす、収容所の所長一家を描いた映画を本日観てきた。
子供らがわいわいがやがやと楽しげに遊ぶ広い庭を挟み、上部には有刺鉄線を張り巡らせた4・5メートル程のコンクリート製の塀があり、その向こう側に煙がもくもくと立ち昇る煙突が見える。
その煙はおそらく、人体の脂肪が燃える煙ではないだろうか。
勿論、庭で遊ぶ子供らはその現実を理解してはいないと思われるが、両親は当然知っている筈。にも係わらず平気そうな顔で花に水をやり、庭木の手入れをしている。
その冷酷無情な対応にはいいようのない恐怖心を覚えずにはいられなかった。
遊びに来ていた所長の妻の母親は、その現実に耐えかねてか、置き手紙のみを残して出て行った。
人が死のうが生きようが、関心のないことにはこれ程まで冷淡になれるものなのだろうか。
なんとも切なく、心の痛くなるような、また、心領神会の境地に至ろうとしないことには、理解できそうにない2本の映画であった。
映画と云えば、私は通常、娯楽的要素のある洋画を好んで観る。特にジェームズ・キャメロンの作品は殆ど観ている。アーノルド・シュワルツェネッガー主演のターミネーターシリーズは勿論、アバターやアリータ、エイリアン、当然タイタニックなども観ている。
現在アバターシリーズの新作に取り掛かっているようだが、私が一番期待し、切望している映画が他にある。広島や長崎を襲った原爆の映画だ。
『人間筏』の歌集を編み、広島と長崎、二度に渡る原爆の災禍に遭った二重被爆者、故・山口 彊(やまぐち つとむ)さんとの約束をいつ果たすのか、注目している。
秋田県在住の作家、池田まき子さんが『平和のバトンをつないで』のなかで詳しく紹介しているように、二重被爆を取り上げた邦画はあるが、SFやアクションを駆使し、スケール感の大きな大ヒット作品を世に出すキャメロンが手掛ける原爆の映画、果たしてどんな切り口や内容で描かれるのだろうか、非常に興味がそそられて仕方がない。
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