今から約2年前、卒寿(当時)の母が2週間程入院したことがある。
華奢な割にはいたって丈夫な母。それまでは母の入院など記憶になかった。
調理も全て母が熟していた。
突然の入院にかなり困惑したが、自分の分は自分で作るしかないと厨房に立ち、迷いながらも何とか調理したものである。
私一人分なので好みの具材で好きな料理ばかり。
特にカレーは得意料理の一つ。と云うよりも、料理らしい料理はこれしか知らない。
学生時代行き付けだった喫茶店のマスター直伝の調理法を思い出しながら作ったものである。
しかもカレーは煮込めば煮込むほど美味さが増す。なので大鍋を使って大量に作り置きし、4・5日はもたせたものである。

今から一ヶ月程前の大型連休の初日、母が体調を崩し、ほぼ寝たきりの状態になってしまった。
それ迄は四つ足の杖を両手に持ちながら、92才になる母が台所に立っていたが、今は歩くこともままならない。勿論料理など到底無理である。
そんなことから調理は私がやることになった。
既述したように、2年程前に母が入院した時は一人分の料理を作れば良かったが、今度は母の好みに合わせる必要がある。
得意のカレーにしても、私は多少辛めが好みだが、母は苦手である。
はてさて、何をどう作るか、味付けをどうすべきか暗中模索の日々が続いている。

多事多端の為、料理ばかりに時間や労力、思考を費やす訳にもいかないが、有り難いことに今は料理方法などYoutubeを参考にできる。
私の料理のコンセプトは、時間短縮や面倒解消から「多目に作ってチンして食う」をモットーにしており、保存の効く料理がメインだ。
先日はチーズたっぷりのシチューを作ってみたが、かなり好評だった。
今年はタケノコが多いことから、市販の「釜飯の素」にタケノコをたっぷりと入れ、「きのこ釜めし」や「五目釜めし」「とりごぼう」など、見た目は変わらないが、意外と好評だった。
日曜日の夕食はラーメン(ポツンと一軒家を鑑賞しながら)と決めており、もやしたっぷりの煮干し風味のラーメンも好評である。

今度は肉ジャガに挑戦してみたいと、具材をひと通り買ってきたつもりだったが、肝心かなめのしらたきを忘れてしまった。明日にでも購入しに行きたい。
そんなことから、不器用な私でも何とか料理の腕前を上げることができそうである。
更には自分なりのレシピを作ろうかとも思い始めている。

「レシピ」と云えば、
一関・文学の蔵会長の畠中先生自作のレシピノートは感動的であった。
大学ノート2・3冊にレシピがぎっしりと記載してあった。
2年程前に奥様が他界されたが、病床にあった奥様を気遣い、大学での講義の合間を縫って、料理の腕をふるったようである。
その畠中先生が会長を務める一関・文学の蔵発刊の『ふみくら』8号が、来月中旬に刊行を迎える。


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