昨日、中尊寺光勝院にて、歌人及び作家の東直子先生を選者にお迎えし、第44回中尊寺西行祭短歌大会が行われた。
午前1時より西行法師を偲ぶ追善法要が執り行われた後、開会式が始まった。

昨年は藤原龍一郎先生をお招きして行われるなど、漸くコロナ収束の兆しも見えるが、コロナ禍であっても、中尊寺のご尽力により、大会の灯りを消すことなく続けてきたことに、我々地元の短歌愛好会にとっても、本当にありがたいことである。
今年は金色堂建立900年目の記念の年。上棟した奥州藤原氏初代の清衡公も、約4年前(2019年10月)に完成した光勝院の様子伺いも兼ね、ひょっとしたら短歌大会会場に訪れたかもしれない。

余談はさておき、菅原光聴執事長の挨拶の後、演題「命を想う歌の今昔」と題して、東直子先生の講演の後、午後2時15分頃から歌会が始まった。
今回の応募者(一人一首)は141名。会場を訪れた応募者分の短歌を一首一首、東直子先生の丁寧な講評により、時折笑い声も聞こえるなど、楽しく、しかも充実した歌会だった。
今後の歌作の際には、東先生のご教示を思い出しながら、秀歌を目指し、歌作に精進していきたいものである。

結果は次の通り

<中尊寺貫首賞>  
 老いるとはすなわち孤立することか凍える胸に白熊が棲む    奥州市  佐藤美津子
<平泉町長賞>
 降りしきる雪の匂ひを纏ふ子は息を弾ませ図書館に来る     宮城県  片山佐依子
<平泉観光協会会長賞>
 戸毎戸毎の名字唱えて過ぎゆけり新旧郵便配達のひと      東京都  森田小夜子
<岩手日報社賞>
 傷つきし小さき獣のごと眠る少年朝より保護室にて       青森県  中里茉莉子
<IBC岩手放送賞>
 画鋲は紙の切れ端押し潰し角の掲示板ガランと二月       山田町  仲田良
<岩手日日新聞社賞>
 生まれ来て初にこの世の映る目に涙をためて新生児泣く     和歌山県 松田容典

<佳作入選>(芳名のみ)
 宮城県  後藤善之
 宮城県  遠藤勝雄
 山口県  山縣満里子
 一関市  一條さち子
 花巻市  岡田憲子
 新潟県  柳村光寛
 神奈川県 西田美鈴
 一関市  松村雅子
 
表彰式の後、上位6賞について入賞のポイントなどを東先生から説明があった。
私のみならず、会場の皆さんも、メモをとるなど、今後の歌作に向けてかなり参考になったのではないだろうか。

最後に、元・平泉町議会議員で平泉町社会福祉協議会会長の寺崎敏子さんによる謝辞が述べられ、第44回中尊寺西行祭短歌大会の一切が、無事成功裡に終わった。
それも担当の中尊寺の僧侶らを初め、一関地方短歌会の大会役員、それに何といっても、中尊寺総務部の中村美智子さんによる適切で明敏な事務処理の賜物であることを忘れてはなるまい。

今回も司会進行を先輩の斎藤のり子さんの助けも借り、なんとか無事に終えることが出来たが、何度やっても慣れそうにない・・・。

また本日、一関・文学の蔵『ふみくら8号』の編集会議があった。依頼していた原稿が未だ出揃ってはいないが、目標の頁数はなんとかクリアできそうである。3日後の4月30日が締切日。次回の編集会議は発刊後の6月15日と決まった。


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