1月29日(月)、奥州市文化会館(Zホール)会議室を会場に、岩手県南歌人クラブ第21回新春短歌大会が開催された。
高橋忠徳先生の進行により、午後1時から大会が始まった。
羽藤尭県南歌人クラブ会長挨拶の後、鷹觜真智子さんと折居路子さんを選者に歌会が始まった。
今回は選者お二方による交互の歌評で進められ、時折、1首につき二人の寸評があるなど、非常に勉強になった。参加者からもあちらこちらでそんな声が聞こえてくるなど、非常に良い歌会だったと思う。

結果は次の通り

<鷹觜真智子先生選>
特選 
 天 妻の倍生きて傘寿の春近くDVDにお経を習ふ          胆沢  岩渕 正力
 地   臥す父の余命告げられこの胸に逆算タイマースイッチはいる    水沢 浅川 隆光
 人 木に残る柿の実に寄る小鳥らのにはかに増えて大雪となる    江刺 菊池 悦子
秀逸
   砂漠より日本に戻り深呼吸緑と水の豊かさ感じて        一関 小野寺 ヨシ子
   木洩れ日のわづかに残る木下にて雀が集ひむつまじく居る     胆沢 千田 エキ子
   待つ間人間なれど番号で呼ばれ診察室に入るなり        北上 佐藤 恰當
   芋を植ゑ大根播きしはたけ跡ゑのころ草が末枯れて揺るる    花巻  岡田 憲子
        いさかいの絶えぬ両親の餅搗きに母の巧みな「えあどり」見たり 一関 佐藤 政勝

<折居路子先生選>
特選   
 天  新雪の晴れてうるほふ前畑に丈伸びすぎし小松菜を摘む     胆沢  阿部 スミ子
 地  釜を鋳る職人気質の父しのぶ工具の手すれ鈍く光るを         水沢  佐藤 建樹
 人  誰の肩にとまりて来しや秋茜電車の床に羽根を伏しをり     水沢     阿部 洋子
秀逸
   傘寿過ぐ友の絵手紙届きたり色良く跳ねし鯛を描きて       水沢  千葉 睦子
   望月を映して揺るるにわたずみ秋風さやぎ父を偲びぬ       一関     伊藤 英伸
   住む人の逝きし窓辺に灯見ゆ訝かり寄れば月影写れる       水沢  小野 優子
   泣きながら乳飲み児を抱き移り来し岩手に住みて三十年経つ    江刺     菊池 洋子
        介護にて移り住みたるこの家に独り居となり星空見上ぐ      胆沢     遠藤 カオル

互評入選者(上位5名)
1.佐藤 建樹 2.佐藤タミ子 3.遠藤 カオル 4.阿部 スミ子 5.阿部 洋子

私の一首も辛うじて秀逸(折居路子先生選)に選んでいただいた。
今回の出詠数は47首。地元奥州市以外には私ども一関市や盛岡市、花巻市、遠くは広島県からの出詠もあるなど、年々盛り上がってきているようである。
空前の短歌ブームとして、SNS上で盛り上がる若者らに影響されてか、少しづつだが、地方の短歌会にも明るい兆しがみえてきているように思う。

因みに今年の4月26日には、世界遺産平泉の中尊寺を会場に、第44回西行祭短歌大会が開催される。
選者は作家で歌人の東直子さん。今年は中尊寺の金色堂建立900年祭もあり、かなり賑わいそうな予感である。
現在、東京国立博物館では金色堂建立900年を記念して、金色堂内で最も重要な中央壇に安置される国宝の仏像が紹介されるとともに、金色堂が8KCGにより原寸大で再現されている。
期間は今年の4月14日迄。


一関文化協会発刊の『文芸いわい』第37号が刊行された。今号も私は詩(1編)と短歌(5首)を投稿している。
詩7編、短歌125首、俳句498句、川柳335句の85頁仕立ての一冊。
販売は一関文化センターや北上書房など、一関市内の各書店で購入できる。
定価1,600円(消費税込)


niwatazumi


2024-1