昨夜自宅に戻ると、現代歌人協会から郵便物が届いていた。
現代歌人協会主催による第50回全国短歌大会の入選歌を収めた選歌集が同封され、早速ページを捲ると全国短歌大会賞2首が掲載されていた。今回の応募数は2139首とある。

全国短歌大会賞
・マスク生活二年目に入り子どもらの眉濃くうごく夏がまた来た 岡本和子(東京都東山村山市)
同じく大会賞
・もう君のオルフェでなくて振り向けばどの花野でも一人だと知る 小林菫子(市川市東国分)
朝日新聞社賞
・ウイルスに負けてもいいよ十字架の赤いネオンは月へ触れそう 尾内甲太郎(浜松市南区)
学生短歌賞
・不揃いの野菜は安く売られおり心臓のようなトマトを握る 庄野酢飯(豊中市待兼山町)

続いて選者10名(奥田亡羊・楠誓英・栗木京子・黒瀬珂瀾・小島なお・坂井修一・冨田睦子・内藤明・東直子・渡英子)による選者賞が載っていた。
ページを捲っていくと、16ページに私の名前が見えた。富田睦子選の佳作にありがたくも入選していた。
・カルトンを鳴らす新米つや増してその艶はみな汗の輝き
その直ぐ隣には、高校時代同じ応援団リーダーとして、発声練習やタクトの練習に汗と涙の過酷な練習を共に耐えた友人、菊田顕君の一首もあった。
地方の短歌大会では選者一人のところが多く、同じ様な歌風の歌が入選する傾向にあるが、選者の殆どが結社を異にする為、結社の枠を越えた自由度の高い寥廓たる選定がありがたい。

私の一首への、富田さんの選評に「弾むような調べが清々しく、労働の尊さ、充実感の明るい一首」とある。実にありがたい。
私はコメの生産者であると同時に、一等米、二等米などの判定を下す検査員でもある。
カルトンとは検査の折、抽出した新米を黒色や白色のカルトンに並べ、青未熟粒や白未熟粒、着色などの被害粒や形質を審査して等級を判定する。
生産者が泥に塗れながら大事に大事に育てたおコメが、検査日を迎え、カルトンに並べられ、秋の斜光が射すと更にその艶や輝きが増すのである。
今年の米価は極端に下がり、検査を進める度に複雑な思いでカルトンを鳴らしたものだった。

本日、中尊寺光勝院を会場に、令和4年度、第43回中尊寺西行祭短歌大会の準備委員会が開かれた。
コロナ禍のもと、ここ2年程通信歌会などで正規の大会が開けなかった。
通常は4月開催だが、来年は開催期日を変更して9月に、通常通りの内容で開催することに決まった。
選者や正式な日程など決まり次第当サイト等で紹介したい。


koike





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