私が毎朝毎晩通勤路として利用する道路沿いに、今年もまた見事にイチョウの葉が美しく黄葉した。
秋晴れの下、清々しい澄み切った空気を、目一杯体内に吸い込みながら見る鄙の景色は、また格別に美しく、そして心が洗われるようだ。

今年の黄葉は特に、今迄にない程美しい。
日頃溜まったストレスや喧騒などをいっぺんに忘れさせる暖かさや、それをまるごと包み込むかのような包容力さえ感じられる。

何故ならば、
この公孫樹の枯木を毎日見て育った青年は、身体能力に秀で、勇敢で心温かく、難問難題にも決して躊躇することなく勇猛果敢に挑み、将来を嘱望されながらも、今年の5月、花巻市にある湖沼でのレスキュー訓練の途中、39歳の若さで、尊い命を失った航空隊員のイチョウの樹だからである。


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