久方ぶりに心底から共感の持てる寄稿文に出会った。
文藝春秋4月号の77頁。「古風堂々・47」巻頭随筆、藤原正彦(作家、数学者)氏の寄稿文である。
「深い洞察は常に一人の人間の呻吟により生まれる」との一文が印象的だ。
洞察力の乏しい最近の為政者や官僚らにより、バブル崩壊以降、30年に渡って日本はデフレによる経済の低迷を続けている。何故なら、財政の健全化を旨とし、緊縮をよしとする財政政策をぎりぎりじわじわと進めてきた結果、日本の経済成長は30年前と殆ど変わらない。
他の先進国と比べると日本だけが置いてけぼり状態である。

また、その間、労働者派遣法改正に伴い非正規雇用者が急増。
35歳以下の非正規雇用者は5百万人を超え、平均年収は200万円以下。
そんな状態では将来に不安を覚え、結婚したくとも経済的理由から控えざるを得ない現状がある。
その結果子どもは増えず、深刻な少子化問題が続いている。
少子化云々のみならず、将来不安を抱えることから自殺者も増え、毎年3万人以上も自ら命を絶つ結果となっている。
また、為政者や官僚らの洞察力に欠けた政策による被害は、深刻な食糧問題にも及んでいる。

同じ文春4月号に寄稿された東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木教授がクワトロ・ショック(コロナ禍、中国の爆買い、ウクライナ危機)を示唆するように、日本の食料自給率の低迷が今急激に危惧され、問題視されている。
日本の食料自給率は一般的なカロリーベースで38%と云われている。
しかしながら種子や肥料を大幅に輸入に頼っていることから、実質的には10%前後とみられている。
日本の自給率低下の理由として、日本は国家ぐるみで貿易摩擦解消の為、農業を「生贄」にしてきた貿易政策の問題と、また、自給率軽視の財政政策にあると指摘している。
特に貿易政策では、アメリカが終戦直後から日本を余剰農産物の「最終処分場」と見定め、貿易自由化を押し付けては日本人にアメリカの農産物を供給する政策を押し進めてきた。とも指摘している。

また、私も以前何かの本で知り、激怒した記憶があるが、1958年、慶応大学医学部教授(当時)の木々高太郎(本名:林髞)氏が、「米を食うと馬鹿になる」との科学的根拠のない暴論を唱えた。
日本の国産小麦なら兎も角、後になって分かったことだが、林髞氏はアメリカから支援を受けており、小麦食推奨の旗振り役となって、2000年以上続いた日本の米食文化を否定した。
そのことによって多くの米農家はダメージを被り、今では深刻な離農問題へと発展している。
その罪は実に重いと云わざるを得ない。

また、当時の朝日新聞の天声人語で、「白米食は栄養の不足を招き高血圧や脚気になる。パン食を歓迎する」などとの中身のない悪文や、TBSテレビなどでも、「家庭でできる小麦粉料理」などの番組により小麦食が推奨された。
それらの影響からか、学校給食は一斉にパン食と不味い脱脂粉乳が普及し、日本の食文化はガラッと変わった。
その結果、米の消費は年々減り続け、米価の下落、生産者の高齢化や後継者不足も相俟って、離農、廃業が目立つようになった。更に、ウクライナ危機に伴う肥料の高騰などもあり、更に離農者が増えるのではないかと懸念されている。
国防の一番のカギは、銃でも戦車でもない。兵糧である。
ウクライナ危機でも明らかとなったが、食料自給率の向上は国民を守る上で国が実施すべき最優先の重要課題だと思う。


akakakuroka

tantoramen

zenjiro
先日、連休を利用して息子ら夫婦が東京からやってきた。
仙台の「たんや善治郎」の牛タン弁当と、喜多方らーめん坂内食堂のラーメンセットなどを
土産に持ってきてくれた。
いつもなら「ポツンと一軒家」を鑑賞しながら拉麺をすすり、堪能するところだが、
幸か不幸か、WBCで日本中が熱狂していた。
ご多分に漏れず私も手に汗握りながら、牛タン弁当と拉麺を思う存分堪能することが出来た。
勿論、ご飯をおかわりしたのは云うまでもない。









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