昨日、第40回中尊寺西行祭短歌大会が、高貝次郎(秋田県歌人協会会長)先生を選者に招き、中尊寺本坊を会場に行なわれた。つい2日ほど前迄は花冷えか、寒の戻りでかなり寒い日が続いたが、うって変わり穏やかな一日となり、春陽の当たる庭内は心地よい空気に包まれていた。但し、陽の射さない本坊は流石に天然のクーラーが効き過ぎていたようだ。
そんななか、例年通り西行法師の追善供養が営まれ、第40回中尊寺西行祭短歌大会が始まった。
初めに、社会情勢を的確に捉えた山田俊和貫主のありがたいご講話の後、高貝次郎先生の講演が始まった。

演題は『現代著名歌人の歌から読み解く西行』、西行法師のことを詠んだ現代歌人詠の12首を引き、作者の人柄に触れるなど、実に興味深いお話が随所にあった。今後の歌作に是非とも参考にしたい。
前日、私は高貝先生を一関駅迄お迎えに行き、宿泊先のホテル迄車中をともにさせていただいたが、非常に楽しく、興味深いお話を聞かせていただいた。
とても気さくで、実にユーモアのセンスに富み、情の深い人間味のある方であったことを、触れずにはいられない。
今回の短歌大会により、高貝ファンがかなり増えたのではないだろうか。

私は今回、選者の送迎と司会進行の役を仰せつかったが、不慣れな点もあり、特に司会はスムースにはいかなかった。先輩司会者の斎藤のり子さんに頼りっぱなしだったが、徐々に慣れていきたい。
今回応募された作品は111首(詠草のみを含めると142首)

入選作品
<中尊寺貫首賞> 松村 雅子さん(一関市)
作品:放射線量測定機器の置かれある校庭に児らパスつなぎゆく

<平泉町長賞> 千葉 喜惠さん(一関市)
作品:カーラジオの歌合戦聞き峠越え初詣でめざす竹駒神社

<平泉観光協会長賞> 鈴木 啓治(一関市)
作品:亡き妻に背を支えられ生きている座椅子カバーは妻の手づくり

<岩手日報賞> 八重嶋 勲(紫波町)
作品:月見坂の杉の梢に韻きあり西行の声義経の笛

<IBC岩手放送賞> 阿部スミ子(奥州市) 
作品:人の世の縁かなしも義経堂春まだ寒き北国に建つ

<岩手日日新聞社賞> 岩渕正力(奥州市)さん
作品:こめかみに当てたる指の銃身をしづかに外し除夜の鐘聞く

佳作受賞者
佐藤怡當さん(北上市)
小野寺ヨシ子さん(一関市)
小野寺政賢さん(一関市)
佐藤義男さん(北上市)
阿部昭代さん(一関市)
岩渕初代さん(一関市)
清水亜彦さん(盛岡市)
野口良子さん(宮城県)
がそれぞれ受賞された。

追記
3年ほど前から、中尊寺本堂裏にあった大広間の改修工事があり、来年、新元号の令和2年4月29日の第41回中尊寺西行祭短歌大会は、新しくなった大広間を会場に行なわれる予定。
たとえ花冷えであろとも、寒さを感じることなく短歌大会が営まれるのではないだろうか。

因みに私の投稿歌は ↓

saniturau

中尊寺や追善供養の様子など(短歌大会や表彰式の様子を撮影したかったが、役割上無理と判断)
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