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生まれ故郷を離れて暮らしてみると、故郷の良さがしみじみと分かるものだが、人もまた同じ。亡くなってみるとその存在感や偉大さに気付かされるものだ。
今年3月10日、東日本大震災から丁度8年目の前日、作家の及川和男先生が多臓器不全で85年の生涯に幕を閉じた。
生前の及川先生の為人や功績など、4月13日から16日迄の地元紙(岩手日日)の社会欄に、「普遍性を持った偉大な作家」として詳しく紹介された。3回に渡り連載されたことは異例であろう。

及川先生の世に出した著書は『村長ありき 沢内村深沢晟雄の生涯』『深き流れとなりて』『森は呼んでいる』『浜人(はんもうど)の森 2011』など五十冊以上に上る。
その殆どが社会的弱者や生命尊重の視点に立ち、温かい眼差しで社会を見つめ、鋭い視線で世の中に訴えかけている、真面目で硬派な作家であった。